茨木市福祉文化会館のイベントは、いろんな思いが集まって・・・

はい、いばジャルです。

先日、茨木ジャーナルで紹介した福祉文化会館でのイベント【生田流箏曲 宮城会 辰野千代子の会】のお知らせ。
 【茨木市福祉文化会館(オークシアター)でイベント】の記事

このコンサートがどんなものなのかなぁ、と気になっていたところ
前日リハーサルがあるとうかがったので、ちょっと訪ねてみました。

福祉文化会館ステージ全景

こちらが、茨木市福祉文化会館5F、オークシアター。
当日は舞台に毛氈も敷かれるそうですが、前日の舞台リハーサルが行われていました。

長くお箏の演奏をなさっている辰野さんの演奏会に
辰野さんがお箏を教えてこられたお弟子さん、生徒さんと
ご縁のある歌姫い会(うたひめいかい)の皆さん、
フルート奏者の山中純さんが一緒に、
宮城道雄さんの作った曲を演奏します。

皆さんそれぞれに、練習の準備をなさっています。

辰野千代子さんのお話

今回の演奏会は、
「フルートと一緒に演奏しませんか?」と
「歌姫い会」の宮本さんに誘われたことが、きっかけのひとつだと辰野さん。
実は、辰野さんご自身も「フルートと演奏してみたいなぁ」と思っていらっしゃったのだそうです。

また、府内の高校へお箏を教えていらっしゃっていて
「若い方たちにお箏を教えたこと。
またそうして教えた生徒さんたちが、たくさんの優秀な賞を受賞したこと。
そんなことから、自分の中で少しずつ自信にもなってきたのかもしれません」と辰野さん。

今まで独奏をする機会はなかったそうですが、
周りの「やってみましょう」という声や
若い人たちがぐんぐん伸びていく様子に
「自分の好きな曲で、演奏会をしてみたいなぁ」と思われたそうです。

「今回のことで、自分もまた一から勉強しなおしたこともあります。
伝統音楽が普及、発展してくために
宮城道雄の『楽しい曲』を聴いてもらえたらいいなぁと思います」と
話して下さいました。

男子大学生もお箏を演奏!

舞台袖でみなさんが準備をなさっている中、
お箏の世界のことをよく知らないワタシの目を引いたのが、一人の男性。

舞台助手の方に聞くと、大学生だというその方もお箏を演奏するのだとか。
早速、声をかけてみると
「高校の時からお箏を始めました」とのこと。
高校の部活でお箏を始めて、今も続けていらっしゃるんだそうです。

どうしてまた、お箏を?・・ですよね。

「もともと音楽を聴くのは好きでした。
なんとなく日本のものに魅かれて、テレビで見たお箏の演奏がきっかけでやってみたいと思ったんです」と彼。

高校の部活にあったお箏の部が、休部状態だったところ、
顧問の先生に頼んで活動させてもらうことになり、
辰野千代子さんには、その時から教わっていたのだそうです。

「どうしても、やりたい!という生徒がいるんですと高校から頼まれた、その時の生徒が彼。
本当に筋が良くて、楽しみです」と辰野さん。

明日の演奏会では
「ずっと教わっている辰野先生のコンサートなので、
少しでも力になれたら、と思っています」と、笑顔で意気込みを話して下さいました。
楽屋のお箏DSC04574

お箏とフルート?!

なかなか珍しい「お箏とフルート」の組み合わせ。
歌姫い会の宮本さんこの演奏会のことを聞いて一番に「へぇ」と思ったのは、お箏とフルートの演奏ということだったので、フルート奏者の山中さんにもお話を伺いました。

「実は、ずっとお箏とご一緒したいと思ってたんです」と山中さん。

フシギッ!どうしてお箏と一緒に演奏したいと思うの?!と聞くと、
その理由が、このコンサートで演奏する「宮城道雄さんの曲」にありました。

前に紹介した記事にも書きましたが、
お正月などによく耳にする「ちゃん♪ちゃらららららら~ん♪」の曲、「春の海」というのが、宮城道雄さん作曲で
「フルートとピアノでは、よく演奏されているものなんですよ」とのこと。

お箏&尺八 があって、
ピアノ&フルート がある。

なるほど~。なんとなく「いつか一緒にやりたいと思ってた」というのが、わかるような気がしませんか?

「お箏と一緒にと思っても、どこへ頼んだらいいかわからなくて」と山中さん。

辰野さんとは、以前からお知り合いだったそうなのですが、
共通のお知り合いの「歌姫い会」の宮本さんの提案で、今回の演奏会が実現しました。

「だから、本当に嬉しいです。
辰野先生の初めての会で、少しでも力になれたらと思っています」と楽しそうに話して下さいました。

譜面作りからスタートした準備

お箏とフルートの演奏・・・と言っても、
実は大変なことが「譜面がない」ということ。

五線譜DSC04587

今回の演奏会で、編曲をなさった藤井修さんが、丁寧に教えて下さいました。

ワタシたちがよく目にする譜面は、西洋の楽器演奏では統一されたものですが、
日本の伝統楽器で、そのようなものはないんですって。
さらには
「流派などでも微妙に違うこともあります」と藤井さん。

ですから、今回の演奏会のためには
歌とお箏とフルートが、一緒に音をたどるための「スコア」を作る必要がありました。

日本の楽器の譜を五線譜に書き起こし、さらにその細かい部分は実際の音源を聴き比べていくという作業・・・・。
同じ曲でも、お師匠さんからお弟子さんへと伝えていくうちに
細かい部分に独自のアレンジが入っていることもあるのだとか・・・。

「美空ひばりさんの世界みたい・・・」とつぶやくと、
「そうです!」と藤井さん。

例えば、と見せて下さったのですが、これがお箏の譜で、

お箏の譜DSC04586

この下のが、尺八の譜。

尺八の譜DSC04583

「広く世の中に出していくために、共通の譜を持たなくては」という思いだったという藤井さん。

「伝統を残していくためには
それが人々の身近なところにある必要があって
そのためには、今回のような演奏会があったり
さらには、共通の譜面があるということは、大切だと思います」と藤井さん。

大学生の彼が、
「お箏、やってみたいな」と思ったときに
偶然、お箏に触れる環境がそばにあったような・・・。
伝統や芸術や文化って、そういうふうに繋がっていくのかなぁと思ったお話でした。

前日リハーサルでお忙しい中、
皆さま、とても丁寧にワタシの拙い質問にお答え下さいました。
どうもありがとうございました。

【生田流筝曲 宮城会 辰野千代子の会】
8月17日(日)午後2時から
入場は無料

ご関心のある方は、ぜひ!

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