まるで美術館!閉館した茨木市福祉文化会館でアート4事業の展示会「ICAW」開催中
はい、茨木ジャーナルです。
貸館業務はクローズしている、茨木市福祉文化会館。来年には解体も始まるのかな…という建物ですが、なんとなんと!
6月28日~7月13日まで、アートの展示会が開催されています。
「IBARAKI CONTEMPORARY ART WEEKS」、略して「ICAW」。
現在、茨木市で続いているアートの4つの事業が合同で展示会を開催中です。
5階から地下2階まであちこち巡って
茨木市にある4つのアート事業。
古くは50年以上も続く歴史あるプロジェクトも存在します。
それぞれが「展示する」だけにとどまらず、茨木市の文化育成・コミュニティ形成を担っているところが、特長です。
- 現代美術-茨木
- HUB-IBARAKI ART PROJECT
- SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト
- 茨木映像芸術祭
この4プロジェクトがコラボしての展示会です。
美術館として建てられていないからこそ、この建物が本来持っている背景・立地までもが作品になっているようでした。
探検するように巡りながら、アート作品に出会えます。
【Ibaraki Contemporary Art Weeks】 展示会場:茨木市福祉文化会館 (茨木市駅前4丁目7-55) 日時:6月28日(土)〜7月13日(日) 12:00〜19:00 ※月〜水は閉館 ◆最新情報はInstagramでも発信しています。 【ICAW(アイカウ)Instagram】 |
各事業の展示の様子を、ちょっとだけ紹介しますね。
1階・2階 現代美術-茨木
1968年に、出品者相互の交流と現代美術の発展を目的に発足した「現代美術-茨木(旧称 茨木現代美術展)。
福祉文化会館の1階と2階が展示会場です。
1階の茨木市水道部だった場所の作品は、いろんな方向から眺めて楽しみました。
- 現代美術展茨木特別展@ibaraki_genbi
「Transfer」 - 次代の「現代美術−茨木」を模索する取り組みとして、特集作家経験者の中から数名を招聘した1室1名の作品展示、ライブペインティング、これまでに制作した広報物などを紹介するアーカイブ展示など様々な企画を行います。
- ■会期 6月28日(土)~7月13日(日)
12:00~19:00
※月~水は休み - ■会場 茨木市福祉文化会館 1階・2階
- ☆茨木市文化・子育て複合施設おにクルでも、
第52回現代美術-茨木2025展「時間のなかで存在すること」を開催。
(おにクル1階 オープンギャラリー、きたしんホール)
☆6月30日(月)~7月6日(日)10:00~19:00
(※最終日は17:00まで)
「1室1名の作品展示」って、茨木市内では貴重なスケールだなぁと思いました。
部屋いっぱいを使っている作品は、まだ「制作の途中」だそう。
ライブペインティングがされるとのこと。
ここに載せているのは6月27日の様子ですが、どう変わっていくのか楽しみです。
今村源さんの展示スペースもおもしろかった!小さなプロペラによって、モビールが回っているんです。
質感も異なるモノたちがバランスを取っている様子に、見入ってしまいました。
あ。
上の写真、よく見ると不思議なモノが写っていますね。
ぜひ、現場で楽しんでください。
「不在」だけど、開けられている扉なんて、覗かずにいられない!
探検みたいな展示会です。
一つの部屋を使う作品展示は、窓からの景色も作品になっているに感じられました。
私は、窓枠の額縁みたいに感じられるところが好きなので、この部屋も気になりました。
この壁の線も、作品でしょうか。
数か月先に取り壊すことが決まっている場所、というのは自由なんだなぁ。
静かな和の空間に、ド迫力の作品があったり。
作品が、建物の持つ背景と合わさっているのが、おもしろいなあと思いました。
HUB-IBARAKI ART PROJECT
2013年に始動したHUB-IBARAKI ART PROJECT(以下ハブ・イバラキ)。
ディレクターがアーティストを招聘し、茨木市でのリサーチをベースに「HUB」としての役割に取り組んでいます。
今回のICAWでは、2024年度の招聘作家さんの取り組みが映像で紹介されていました。
(写真は2025年3月)
覚えていますか?
クリエイトセンターの喫茶食堂で展示されていた「循環とは?土と水。人と開発。土地に生きるということ」の、最後の様子を映像で見ることができます。
- HUB-IBARAKI ART PROJECT
2024/2025 招聘作家作品展示 - 井上唯 (2024年度の招聘作家)による茨木市でのリサーチをベースに制作・発表された作品の一つ「雨乞いの龍」の記録映像。
さらに、2025年度招聘作家・尾角典子の過去作品も紹介します。 - 作家
井上唯 (2024年度の招聘作家)
尾角典子(2025年度招聘作家) - ■会期 6月28日(土)~7月13日(日)
12:00~19:00
※月~水は休み - ■会場 茨木市福祉文化会館 1階・2階
- ■参照 【龍がドーン!「茨木って」のパーツを繋いだ展覧会、行ってヨカッタ!-茨木の風景】
地下1階のくらーい場所のずっと奥のほうです。
肝だめしじゃありません。
映像作品の展示会場です。
「この映像を見ると、あの日のにおいや雨に濡れる感覚とかがよみがえってくる」と職員さん。
「体験」も作品なんだなぁと感じたお話でした。
SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト
SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト(以下SOU)は、2018年3月のJR総持寺駅開業とともにスタートした事業です。
半年ごとに展示作品が入れ替わり、現在は「野原の上 – On the field」としてポーランドの作家、エディタ・フルさん、ルジャ・リトヴァの作品が紹介されています。
(共同主催:アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート、One Art Project、茨木市)
「ポーランド」の国名は「野原」を意味する言葉が語源になっているのだそうです。
ICAWでは、ポーランドの作家さん2名と、これまでのSOUの参加作家さん2名を迎えました。
- SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト
real SOU #15「野原の上で」 - ポーランドの作家のエディタ・フルさんとルージャ・リトヴァさんに加え、日本からは松井千絵さんと黒宮菜々さんが参加。
- 異なる文化的背景を持つ女性アーティストたちの作品における共通点と相違点に目を向けます。
- 芸術を個人と共同体のアイデンティティを構築する場として扱うポーランド。
日本は文化を消費の要素として捉え、芸術が時に表面的になることがあります。 - この展覧会は、女性がともに見て、考えてきた共通の体験のもと、芸術を通して国境を超える可能性はあるのか?と問いかけます。
- ■会期 6月28日(土)~7月13日(日)
12:00~19:00
※月~水は休み - ■会場 茨木市福祉文化会館 3階・地下2階
地下2階は「real SOU」の会場。
無機質な空間に、作品がぽっと浮かび上がっているような不思議さがありました。
近くで観たり、遠くから眺めてみたり。
それぞれで変わる見え方を想像しながら制作されているってことに、改めてスゴイなぁと思うのでした。
広い空間の向こうに、小さな空間があって、
美しく並んだ作品がありました。
3階の「SOU」の会場は、
明るくて、地下とは異なる世界に浸れました。
福祉文化会館が持つ部屋の個性を使った展示になっていました。
茨木映像芸術祭はゆっくりと
2020年のコロナ禍に「太陽から私たちに光が届くまでの時間8分19秒」以内の短編映像を募集するコンクールとして誕生した、茨木映像芸術祭。
どう見るか、の提案も楽しいものです。
- 茨木映像芸術祭
- 「太陽から私たちに光が届くまでの時間8分19秒」以内の短編映像を募集するコンクール。
2024-2025は、25ヵ国105作品の応募があり、審査を経て入選17作が選ばれました。 - 17作品の上映と展示、さらに過去の受賞作家、水野勝規さんと加藤菜々子さんの展示も行われます。
- ■会期 6月28日(土)~7月13日(日)
12:00~19:00
※月~水は休み - ■会場 茨木市福祉文化会館 4階・5階
8分19秒以内の映像作品たちなので、4階と5階は時間をかけて回りたい!期間中にまた行ってみたいと思っています。
私は、目に見えないものが作品になっているような、上の写真の風景が気になりました。
「窓枠が額縁みたいになっている様子」が好きなので、ずーっと見ていられます。
ICAW関連イベントもあります
作品はもちろん、期間中は関連イベントも予定されています。
- HUB-CAFE vol.2
野草茶を囲む体験型ワークショップ
『地中に向かうインビテーション』 - ■日時 7月4日(金) 18:00~19:30ごろ
- ■会場 市⺠総合センター(クリエイトセンター)
1階 喫茶・食堂 - ■参加無料・申込不要・出入り自由
●ゲストアーティスト:鈴木きか
●協力:大手門学院大学
野草茶を囲む体験型ワークショップの会場は、クリエイトセンターです。
お間違いのありませんように。
福祉文化会館では、茨木市の文化芸術について語る場も、予定されています。
- 現美カフェ vol.3
- ■日時 7月13日(日) 15:00~17:00
- ■会場:茨木市福祉文化会館1階ロビー
- ■ゲスト
仲摩洋一(茨木現代美術展実行委員⻑)、
One Art Project(SOU、茨木映像芸術祭ディレクター)、
内田千恵(HUB-IBARAKI ART PROJECTディレクター)
ほかにも、日替わりカフェがオープンされます。
ICAWのSNSでチェックしてみてくださいね!
6/29 トークイベントが開催されました
6月29日には、クリエイトセンター1階の喫茶・食堂でトークイベントも行われました。
テーマは「場づくりについて考える#04 IBALAB@広場の事例から」。
おにクルのキーコンセプト「育てる広場」に繋がる社会実験が行われてきた、IBALAB@広場。
社会実験のあいだ、たくさんの市民が広場を使い、実験のあと、活動はおにクルなどほかの場所でも展開されていて、実験が文化になっているんだなぁと感じます。
アートの世界でも、自分ごととして「場」へ関心を持つ人を増やすことが大切なのだとか。
(写真は2021年4月)
「IBALAB」の社会実験で得られたこと、市民と行政が一緒に考えてきた積み重ねなどは、貴重なもの。
「実験の検証と引き継ぎ」が、行政のなかでも行われていくのだろうと期待します。
貸館業務を終え、解体されることがわかっている建物・茨木市福祉文化会館。
「文化を育む」という茨木市のアート事業への思いを感じられるような、展示会でした。
7月13日までの期間限定ですが、私ももう一回ゆっくりとみて回りたいと思っています。