公共施設・茨木市役所やプラネタリウムへ!ハブ・イバラキ(HUB-IBARAKI)アートツアー
はい、茨木ジャーナルです。
ハブ・イバラキ・アートプロジェクトの報告展企画「アートツアー」と「トークイベント」が、6月17日土曜日に開催されました。
今回、ハブ・イバラキ・アートで制作された美術家・中島麦さんの作品は、イベント終了後もずーっといつでも見ることができます。好きなときに見て回れるなと思っていましたが、中島さんと一緒に作品巡りをするツアーは、制作エピソードも聞けそうだと思って、参加しました。
まずは茨木文化福祉会館へ!
展示会場になっているGLAN FABRIQUEに集合して、フラッグを先頭に、みんなでぞろぞろと歩いていきます。まずは茨木福祉文化会館のほうへ。
文化会館隣にある養精中学校には、壁面に卒業生の記念制作作品が。普段は何気なく通り過ぎてしまっていますが、みんなで歩くと「あぁ、これもアートなんだなぁ」と気付きます。
福祉文化会館の1階ロビーには、中島さんの制作した作品は展示されていません。でも「あれ?これも作品?」と思うステキなものが置いてありました。ぜひ、行って確かめてくださいね。
まず、3階へ上がりました。
たぶん、中島麦さんだからできた展示
「僕のおじいさんが日本画家で、もともとここに作品がありました」と中島さん。おじいさんの作品と色などを合わせて、今回新たに制作した中島さんの作品が、展示されています。
「孫なら近くに展示してもOKちゃう?」と、こんな近くに並んでいます。
同じ作家さんのシリーズ作品かと思うと、実は違う人の、しかも制作された年代もちがう作品というところがオモシロイなぁと感じました。
3階からは、階段で一つ下のフロアへ移動します。すると、
2階にもコラボブース。
「3階へエレベーターであがって、2階へは階段を使うのがポイント」と中島さん。踊り場から階段にかけてが、作品を見るのにおすすめの角度だそうです。
3月にアップした【あ、HUB IBARAKI(ハブ・イバラキ)中島さんの作品発見!・・と思ったら】の記事でも、ここの作品を紹介しましたが、このときも偶然階段を使ったのでした。
休日の茨木市役所へ潜入!
福祉文化会館の2階からは、歩道橋で向かい側にある茨木市役所へ移動しました。こうやって、人が通っているのを見ると、改めて「市役所前」の標識や信号の大きさにビックリします。
守衛室?みたいなところも、こうして見るとステキ。初めて見たわけじゃないのに、こうやってツアーで歩くとちょっと違った景色に見えて、それだけでも参加してヨカッタ~と思えます。
南館へ続く本館の連絡通路
市役所の本館と南館の間の通路。右側の本館に入ったところの連絡通路に、中島さんの作品があります。
「市役所の中で、たくさん人が通るところで制作したい」と選んだこの場所は、制作期間も短く印象に残っている場所のようです。
壁は両側にありますが、あえて制作したのは片側の壁だけ。手すりなどにもペイントはしていません。
「もともとあるものを残すことで、もとからあったものに気付けるかもしれない」と中島さん。確かに両側の壁に色が塗られると、最初からそういう壁だったのかと気に留めることもないのかも。
ちょうど太陽の光も入って柔らかい雰囲気になってるコンクリートの壁。
「ガリガリ引っかいたりしなければ、触っても大丈夫ですよ」と言うので、たくさんの人がそっと手を触れて…
たくさんの人がカメラを向けている、という図。
市役所1階市民課のところ
ツアーは、照明のついていない休日の市役所へ。もしかして、茨木市役所の中で一般の人が一番通る場所かなぁと思う所へ移動しました。
住民票などを受け取る「市民課」にあるプランターも、中島麦さんの作品に。
先ほどの連絡通路にあったゴミ箱もそうですが、ここのプランターも「ちょっとこっちに移動させて制作したらいいやん」「持ち出して、アトリエで制作するからいいやん」と私たちが考えるような簡単なことでは、なかったのだとか。
「置かれているモノには、ちゃんと理由がある」と改めて感じたとおっしゃっていました。ここでも「すべてに色は塗らない。もともとあるものを残す」というベースは変わらず、
こんな小さなシールにも、養生をして制作したのだそうです。「そんなん、あとからまた貼ったらいいやん」という私のようなアバウトな人間では、ダメです。
「今は、プランターの横にキャプションが貼ってあるので『作品』だとわかります。でも、これは9月まで。今もそうかもしれないけど、多くの人はこれを『作品』とは思わない。でも、知らないうちに目に入っているということも、ハブ・イバラキ・アートプロジェクトの一つ」と中島さんは言います。
市役所南館の1階にも
実は、ここにも中島さんの作品があります。
先日、川端康成生誕日記念のランチで、南館へ来たのに気付かなかったなぁ。ふぁっふぁ…と絵の具を投げるように色を重ねていく中島さんの作品に、柔らかい印象を持っていたのですが、ここの作品はシャープな雰囲気を感じました。
さぁ、どこでしょう。探してみてください(笑)。
では、エレベーターで8階へ。
茨木市文化振興課の風景
ハブ・イバラキ・アートプロジェクトで茨木市の担当部署・文化振興課へも、行くことができました。この景色は、休日ならでは、です。
誰もいなーい!
ダダーンと見えるお役所のロッカーは、まるでどこかのIT会社のキャビネット…のように見えなくもない(笑)。
以前は、扉にマグネットでメモなどが貼られていたそうですが、自然と貼らなくなったと文化振興課の方。「うちの課にも、してほしい」という声もあがるほど、市役所の職員さんから好評なんだそうです。
右側の棚にあった定型用紙の綴りとも、まさかのコラボ。こんな偶然もオモシロイです。
市役所で連絡通路、プランター、ロッカーの扉と順番に見てきて改めて「元あるものを残すことで、気付きがある」という考えと「知らないうちに目に入ることもプロジェクトの一つ」という話が、ストンとお腹の中に落ちてきた気分です。
こうして一緒に歩いてみることで、街中のアートの「実はね…」という作り手の思いを聞くことができますね。オモシロイです。
一行は、最終目的地のプラネタリウムへ。
プラネタリウムでトークイベント
ホールをもう一つの宇宙に、と制作されているプラネタリウムのホール。七夕を控えた今は、短冊がつけられた笹がかざってあって、ますます宇宙や夜空の雰囲気を感じる空間になっています。
アートツアーは、いったんここでゴール。
「実際に制作で絵の具にまみれたのは、僕だけ。けれど、茨木市の職員の方、ハブ・イバラキのスタッフや実行委員みんなで、どんな場所にどんなものを作るのかを考えて、カタチにしていったのが、このプロジェクト」と中島さん。
続いて「展覧観覧室」でのトークイベントへ移ります。
なぜ、茨木の街にアート?
トークイベントでは、大阪新美術館建設準備室学芸員の三井知行さんをゲストに、中島麦さん、ハブ・イバラキ・アートプロジェクト委員長・河上友信さん、茨木市文化振興課の正木友希さんが、ハブ・イバラキ・アートプロジェクトについて、思いを語ってくれました。
「アートとは」という、ちょっとムズカシイ話ももちろんありましたが「なぜ、街の中にアートなのか」とか「今回、なぜ中島麦さんなのか」などの「なぜ」の背景を聞くことができました。
「中島くんの作品は抽象的で」という三井さんの話と、「アートで景色を作りたかった」という河上さんの話は、ツアーで作品を見て回ったあとだけにいっそうイメージしやすくて、楽しいトークでした。
個人的な感想ですが、中でも印象に残ったのが、
「茨木市や文化振興課の方の理解、ハブ・イバラキの実行委員の方のサポートがあったからここまでのことができた」という中島さんの言葉と
「今回は、中島麦さんだったからできたと思う」という文化振興課の正木さんの言葉です。
中島さんと正木さんの言葉は、三井さんの解説や河上さんのハブ・イバラキへの思いともリンクしてました。
「あぁ、だから『公共施設』で『中島麦さん』が制作したんだなぁ」と、いろんなことがパーンと繋がり、ちょっと感動しました。
ハブ・イバラキ・アートはこれからどう展開していくんでしょう。
「つくって終わり、設置して終わり」にしないという大きなビジョンがあり、ハブ・イバラキ・アートに関わる人たちの本気度も伝わってきました。
「なぜ、茨木の街にアートなのか」の答えは、まだまだずっと先に目に見えるものなのかなぁなんて感じました。
行ってヨカッタです。
今回のアートツアーでは、どうしてもすべての作品を見て回ることができませんでしたが、他の場所にも行ってみたいなぁと感じました。
■【HUB-IBARAKI ART PROJECT】のページもチェックしてみてくださいね。
■2014年には【「なぜ茨木にアート?」HUB-IBARAKI (ハブ・イバラキ)ART COMPETITION」】の記事もアップしているので、ご参考に。
タグ:ハブ・イバラキ(HUB IBARAKI), プラネタリウム, 茨木市役所, 風景