龍がドーン!「茨木って」のパーツを繋いだ展覧会、行ってヨカッタ!-茨木の風景
はい、茨木ジャーナルです。
茨木市在住、通勤・通学する人からは「茨木、めっちゃ好き~」「茨木っていいとこだと思う!」という声が多いなぁと感じています。
今回は「こんなに茨木の街を掘り下げてるなんて、スゴイぞ!」と思った展覧会を紹介します。
展示会場の茨木市クリエイトセンターから、作品が、ぬぬーん!と飛び出たりしてて、気になっている人もいらっしゃるかも。
これ、オモシロイし、いろいろ考えさせてくれる内容で、オススメしたいのです。
「茨木って」のピースを組み合わせた展覧会
3月15日まで開催しているのが「HUB-IBARAKI ART PROJECT(ハブ・イバラキ アートプロジェクト以下、ハブ・イバラキ)2024)」での展示「循環とは?土と水。人と開発。土地に生きるということ」です。
ハブ・イバラキでは、滋賀県在住の美術家・井上唯さんを招聘。
2024年春から、ハブ・イバラキのプロジェクトディレクター内田千恵さんをはじめとするスタッフも一緒に茨木市の主に山間部をリサーチしていきました。
パンフレットに掲載されている場所を見ると、その数は60以上!
古墳、お寺や神社、農家さんや酒蔵、山・川・池や畑…。
井上さんが「ここへ行ってみたい」という場所へ出かけ、地域の人から聞く話に出てきた場所へ、さらに行ったり調べたりを丁寧に重ねていったそうです。
もともと良い水が湧くといわれる茨木。
この展示会場には、茨木市内のあちこちでくみ取ってきた水も並んでいました。
雨乞いは龍を木に這わせて
水の良いところに田んぼがつくられ、ため池がつくられて私たちの暮らしがあります。
藁で作った龍を大木に這わせて雨乞いをしていた、という伯光神社の話を聞いた井上さんは、展示会場にその龍も再現していました。
ドーン!と、こちら。
クリエイトセンターを突き抜けているかのような龍です。
屋内の龍は、
茨木市内でくみあげてきた水の展示に沿って、体をうねらせながら
外へ、ずずーんと。
地域の方にも協力してもらいながら、この作品が完成したのだそう。
井上さんとハブ・イバラキの皆さんが、実際の場所へ出かけて、地域の方から話を聞いていき、さらにまた実際の場所へ…と積み重ねていったからこその表現なのだなと感じます。
稲藁で作った「根」が表現しているもの
もう一つ、この会場のなかで印象的な作品が、大きな「根」です。
クリエイトセンター1階の喫茶・食堂に入ってすぐ、天井から吊り下げられていて、まるで土の中に潜って眺めているような気分になります。
この稲藁は、茨木で一軒だけが作っている酒米「三島雄町」のもの。いろんな方に縄を綯ってもらって、根っこの形にしています。
「藁を撚り合わせ、また新しい稲藁を継ぎ足して、長い縄となる」というところが、地域のさまざまなものが受け継がれていくことに重なる、と案内文にも書かれていました。
茨木は、中心市街地のすぐ近くに山があって、豊かな自然を近くに感じられることが特長です。同時に、電車でも車でもあちこちへアクセスしやすくて便利。
「継ぎ足して、繋いでいくことで長い縄となる。(案内文より)」という新しい稲藁は、世代を超えて継がれてきたもの。
開発される新しいものも「継ぎ足して、繋いでいくこと」のなかに入っていけるんだろうか…と、ふと考えたりしました。
「茨木に、あるよ」と教えてくれる作品
私が行った日は、美術家・井上唯さんのアーティストトークも行われていました。
多くの人で賑わう会場で、ふと壁際に目をやると優しい色合いの糸が並んでいることに気付きました。
茨木市内のあちこちで集めた落ち葉や茎で色を染めたようです。
疣水神社や宝池寺など、リサーチで訪れた場所のものもあれば、国道171号線沿いや、クリエイトセンター前で集めたものも。
どんな木、茎や花で染めたのかも表示されていましたが、なかには「名前のわからない草」と書かれたものもありました。
特別な場所だけでなく、そこにあった草木も優しい色を作ってくれるんだなぁと気付かせてもらった作品です。
会場の真ん中には、そうやって染めた布や糸で作った茨木市の地図も展示されていました。
染めた糸、布、縫い合わせて作った茨木市のマップを見ていると、足元というのかなぁ…、今ある「ココ」を丁寧に見ることの大切さも教えてもらった気がしました。
「循環とは」
茨木市内のあちこちから集めた、藁、草木など、ここにある展示品は3月16日に焚き上げるのだそう。
大地からいただいたもので作った作品をまた大地へ戻す。ここでも「循環とは」を考えさせられる展示がありました。
会場のすみっこにある、砂山「スラグ」です。触るとチクチクするので素手では触れません。
井上さんたちは、茨木市南部の環境衛生センターも訪れて「スラグ」を持ち帰り、展示していました。
私たちが「茨木って、なんでも捨てられるから便利~!」と言っている高温溶融炉。溶かされたごみから取り出されたスラグ、鉄分は「資源」として再利用しています。
井上さんは、茨木の土を使って器も制作しています。
その際、器と同じ土で作った窯も、最後には焼けてしまいました。
木や葉っぱは灰になっても、土は高温で焼くと土に還ることはないのだそう。
なんでも溶かす溶融炉と、自然が長い年月をかけている営み。今は当たり前に思う「便利」さを思うとともに、もしかするとその代わりになくしていることもあるのかも、と想像したりもしました。
茨木を味わう-土器と野草
茨木の土で作った器で、茨木の野草茶をいただくイベントも2月24日に開催されていました。
トークイベントに参加して展覧会を見た次の日です。
のぼりも、茨木の草木で染められた布や糸を使って作られたんだろうなぁ。
「苦いんじゃないの?どうなの?」と、実はあまり興味を持っていませんでした。でも、展覧会を見て「これは行きたいぞ!」と出かけました。
乾燥させたクワ、クロモジの葉を煮だしていただきます。
クロモジは千提寺の山のものだそう。
「わぁ、ほんとに茨木の葉っぱをいただくわ~」と期待で胸いっぱいに。
湯気を顔に当ててクンクンしますが、特別なにか匂いが…ということはなかったなぁ。
お湯に野草が入っている様子を眺めて、ワクワクします。
好きな器を選んで、野草茶を入れていただきました。
あのね。
スッキリ!
おいしいです。
葉っぱにもよるんだろうけど、クロモジとクワの野草茶、おいしい!
世の中には、いろんなフレーバーのお茶があり、いろんなデザインの器もあって「どこどこのもの」と買い物するのも、楽しい。
でも、自分の住む街にこんな素材があるんだ、と体感できたことを「贅沢だぁ」と心の底から思いました。
井上唯さんの展覧会
この展覧会は、3月15日まで。
会場がオープンしているのは、金・土・日曜のみです。
一つ一つの作品もそうだし、この空間(龍の飛び出てるところも)が一つの作品で、うろうろ眺めながら、きっとそれぞれに感じるコトがあるんじゃないかなと思います。
藁で作った稲を眺めたり、龍をじーっと見ていても、感想はいろいろなんだろうな。
「茨木って…」と、茨木にあるさまざまな「こと」を、みんななんとなく知ってる。
井上さんの展覧会は、それぞれの「こと」をストーリーでつなげてくれているところがオモシロいなぁと思いました。
ぜひ!
- 循環とは?土と水。人と開発。土地に生きるということ。
- ■開催日時 2月22日(土)~3月15日(土)
金・土・日のみ開催
12:00~
18:00 ※最終日15日15:00で終了 - ■場所 茨木市 市民総合センター
クリエイトセンター
1階 喫茶・食堂 - ■ハブ・イバラキのページでもご確認いただきけます。
【HUB IBARAKI ART PROJECT公式サイト】 - ■主催:茨木市文化振興財団
- ■ディレクター:内田千恵
◆HUB IBARAKI ART PROJECTは、これまでにもいばジャルで紹介しています。
最初に出会ったのは、この風景。
市民会館の下に「お風呂」を作っていました…!
●2014年2月21日公開記事
【茨木市民会館の駐輪場のところにお風呂ができる?! -HUB-IBARAKI(ハブ イバラキ)アート・コンペティション】
次に、こんな風景にも出会ったのでした。
ローズWAMで絵を描いている方に声をかけて、アトリエにもお邪魔したり♪
●記事は、2014年3月8日公開。ちょうど11年前の今日ですね。
【こんなところに花が咲いてる! -HUB IBARAKI (ハブ・イバラキ) -】
これも「おぉぉぉ!」と思った、作品です。
●2014年8月20日公開記事
【ある小学校の風景 【HUB-IBARAKI】】
茨木ジャーナルの検索窓で「HUB IBARAKI」と入れてもらうと、いろいろ出てきます~!