「ごはん、食べにおいで!」茨木こども食堂へ行ってみました。
はい、茨木ジャーナルです。
2017年11月に【MonAmi(モンアミ)で焼きたてパンを食べられる夜「モンアミ・デ・ナイト」へ!】の記事で、紹介していたパン屋MonAmiさん。
MonAmiの店主・坂口毅さんから「こういうの知ってます?」と手渡されたものがありました。
「茨木子ども食堂」のリーフレットです。
子ども食堂とは、子どもが一人でも立ち寄ることができ、みんなで一緒に食事をしたり、遊んだリ勉強をして過ごせる場所のことです。
茨木にも子ども食堂があると聞いていたものの、あまり詳しく知らなかったので、どんな様子なのかを見せていただくことにしました。
茨木子ども食堂って?
茨木市内では現在、5団体が11ヶ所で「子ども食堂」を運営しています。
MonAmiの坂口さんが紹介してくださったのはそのうちのひとつ「特定非営利活動法人茨木子ども食堂(以下、茨木子ども食堂)」で、2016年から活動をしている団体です。
茨木子ども食堂の開設場所
茨木子ども食堂は、市内6ヶ所で子ども食堂を開設し、坂口さんご自身も「茨木子ども食堂あしはら」でお手伝いをしています。
茨木子ども食堂が開設されている場所と開設日は、次のとおり。食堂のオープン時間は、17時から19時です。
子ども食堂かすがへ行ってみました
伺ったのは、春日コミュニティセンターで開催されている、茨木子ども食堂かすが。
茨木子ども食堂各所ごとに、利用者数はさまざまですが、だいたい40~60人の方が利用しているとのこと。
茨木子ども食堂かすがでは、50食分のごはんを用意しています。
私が伺った16時ごろには、すでに調理がスタートしていました。この日にいらっしゃったスタッフは男性女性あわせて6人。
17時のオープンに向けて、いつも14時ごろから料理を始めるそうです。17時ごろには、仕事を終えて駆けつけるスタッフもいらっしゃいました。配膳や子どもたちへの声かけや片付けなど、スタッフの仕事は調理以外にも幅広くあり、忙しそうです。
限られた時間で多くの人数分のご飯を用意するのは、大変ですが「こうしたらやりやすいよ」など、スタッフの皆さんは声をかけあいながら、楽しそうに調理していらっしゃいました。
春日コミュニティセンターでは、会議室や和室で子どもたちがごはんを食べます。時間を見ながら、テーブルを配置していくのもスタッフの仕事。
訪れる子どもたちの動線も考えながら、受付テーブルを設置します。受付には、この日のメニューを書いたホワイトボードも置いてありました。
茨木子ども食堂は、子どもはみんな一人100円で食事ができます。(付き添いの大人は300円)利用する人はここでお金を払い、手洗いを済ませて調理室へ。
盛り付けてもらったご飯を自分たちで部屋へ運び、いただきます。
この日のメニューは、三色ご飯と根菜の煮物とお味噌汁。デザートにバナナとみかんがついていました。
茨木子ども食堂かすが、どんな人が利用してる?
(この日は、バレンタインデー前だったので、食後にチョコレートが配られました)
訪れた日はオープンの17時より少し前から、利用する子どもたちが受付に置いてあるメニューを見て、わいわいと楽しそうに待っていました。
子ども食堂かすがでは、就学前の幼児や小学生とそのお母さんがよく利用しているそうですが、友達と一緒に来ている小学生高学年のグループもいました。
「子どもは誰でもここへご飯を食べに来ることができます。ずっと来てくれると互いに顔を覚えるようになります。でも、自分がどこに住んでて家族がどうで、とかムリにこちらが聞くこともありません。安心して過ごしてもらえたら」という話が印象的でした。
スタッフには、これまでにも地域の活動にも積極的に関わっているという方もいれば、大学で幼児教育の勉強をしている学生さんもいました。
「興味がある」「何かお手伝いしてみたい」という気持ちがあれば、どなたでも活動に参加できます。調理だけでなく、会場の設営や片付け、配膳の手伝いなど、まだまだ多くの方の助けが必要な部分があるようです。
利用している皆さんの声
春日コミュニティセンターでは、子ども向けのお稽古が開催されていたり、そばに幼稚園があることなどから、茨木子ども食堂のことも少しずつ知られていくようになったようです。
子どもが小学校で話題にすることもあるようで「子どもが友達から聞いて知り、初めて来た」という人も。
食事をしているお母さんたちにも、少し話をお聞きしました。
「子どもがここ(春日コミュニティセンター)のダンススクールに通ってるので、スクールの前に食べていきます。今の時間帯にレッスンをしてるジュニアの子たちも、レッスンが終わったらここを利用してるみたいですよ」
子どもたちにとっても、お母さんたちにとっても楽しい時間を過ごせる場所になっている様子。子どもたちからも、友達と一緒にご飯を食べられる楽しさが、伝わってきました。
多かったのが
「仕事をしてるので、忙しい時間帯にここを利用できるのはありがたいです」
「下に小さい子もいるので、毎日じゃなくても作ってもらったごはんを食べられるのが助かる」というお母さんの声。
小学生の子どもと、仕事帰りに来たというお父さんは、
「初めて利用したんですけど、こういうのは、ありがたいですね」と笑顔で話します。
夕食の準備は、慌ただしい時間の中でパパっとしなくちゃいけないし、献立を考えるのだって毎日だと大変。子どもを持つ親にとっては、ありがたい場所になっているようです。
「子育てをするお母さんたちが、ラクになれたらいいのにって。だから、子ども食堂を作りたかった」と、スタッフの一人、宮野剛志(たかし)さん。
その話の通り、子育てをするお父さん、お母さんには頼もしい場所になっているようです。
子どもと一緒によく利用するというお母さんは、
「ここだと、家と違って子どもも集中してちゃんと食べてくれる」と話してくれました。
「家では食べる量も少ないけれど、子ども食堂では残さずちゃんと食べる」と話す方も。
いろんな年齢の子どもたち同士で集まってごはんを食べる時間が、子どもにとっても楽しみになっているのかもしれないなぁと感じました。
茨木子ども食堂のこれから
「実際の課題はどうなのか、地域で何が求められているか、どんな支援を用意したらいいか。子どものまわりにある課題を、地域の人たちが知って、主体的に行動しやすいような…。そんな場所になってきたらいいなぁって思います」と、茨木子ども食堂を立ち上げた森みどりさんは話します。
森さんは、子どもの貧困問題が取り上げられるようになったころ、茨木でも課題としてあるのかもしれないと、子ども食堂の設置を考えました。
茨木市では、他にも「子ども食堂」という活動は広がっています。茨木子ども食堂6ヶ所でも、利用する人の様子はさまざま。
小学生高学年の子どもが、子どもだけで利用している場所もありますし「帰っても一人で留守番やし」と、時間ギリギリまで子ども食堂で過ごす子もいます。
必要な子どもや子育てをする人へ支援が届いているのかは、まだ手探りで「利用する子どもや親に『ここがあってうれしい』と思ってもらえるためには、安心して過ごせる居場所として、これからも続けていけるようにすることが大切」と森さん。
「誰でも来ていいよ。ごはん、食べにおいでよ」と扉をオープンにし、少しずついろんな人に場所を知ってもらえるようになった茨木子ども食堂。
「手伝いたい」と活動に参加してくれる地域の方や学生さんからの問い合わせも、少しずつ増えているそうですが、宮野さんは「利用する子どもたちのことを思うと、まだまだ足りないところもある。手伝ってくださる人が増えたらうれしい」と話します。
「子ども食堂」という存在が「ちょっと助けてほしいねんけど」という人に届いて、自然な形でそのヘルプに応えられる居場所になるといいなぁと、皆さんのお話を聞いて感じました。
茨木子ども食堂の皆さん、お話を聞かせてくださった利用者の皆さん、ありがとうございました。
【茨木子ども食堂 HP】もご覧ください。
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