ハブイバラキ(HUB-IBARAKI)除幕式でアートのかけらの贈り物
はい、茨木ジャーナルです。
何度か紹介している「HUB-IBARAKI ART PROJECT(ハブイバラキ アートプロジェクト」。茨木市の美術家・中島麦さんの制作で、茨木市内の公共施設が「アートなスポット」に変わるという内容です。
「ハブイバラキ(HUB-IBARAKI)で中島さんの特設アトリエになっていたのは、中央図書館となりにある「茨木市生涯学習センターきらめき」でした。この場所で4月29日に「除幕式」を行うと聞き、行ってきました。
「残る作品」が制作できたハブ・イバラキ
除幕式はは中島麦さんと、ハブ・イバラキアート実行委員長の河上友信さんのトークで楽しくスタートしました。
「大人に囲まれた麦さんが怒られてる図」みたいな写真ですが、お二人のトークでは、いろんなエピソードも紹介されて楽しい時間になりました。
「生涯学習センターきらめきを特設アトリエとして、市役所のプランターや図書館のブックラックなども、ここへ運び込んで制作しました。すべての場所に、作品を戻しましたが、特設アトリエとして制作現場が残ったままで『終わった』という感覚が薄かったこともあり、除幕式というカタチで皆さんと区切りをつけたいと思います」と河上さん。
中島さんは、作品の制作について紹介してくれました。
「空間のすべてを作品にしない」/中島麦
生涯学習センターきらめきで特設アトリエとなっていたのは、3階の風除室で実際にはあまり利用されることのない場所でした。
デッドスペースとなっている場所とはいえ、パブリックな空間を4ヶ月間使う作業なので、シートを敷き養生をして作業を行っていました。
「養生するときに考えていたのは『空間のすべてを作品にしない』ということです。もともとそこにあるものを残すことで、気付くこともあるし違いを感じることもできるから」と中島さん。
手すりやスイッチなどの出っ張りを養生しているのには、そんな思いもあったのだそうです。
「残すものを作りたい」/中島麦
「多くのアート作品は、設置すると展示期間後には完全撤去することが多い」と河上さん。
以前に話をお聞きしたときも「アート作品が残ることでその街の風景になると思う」と話していらっしゃいました。(※【「なぜ茨木にアート?」HUB-IBARAKI (ハブ・イバラキ)ART COMPETITION」】の記事)
中島さんにもその思いはあるようです。
「3年前のHUB-IBARAKIアートコンペティションに参加したとき、この生涯学習センターで大きな絵を描きました。今回もう一度制作をとなったとき、まず考えたのは『残すものを作りたい』ということ。生涯学習センターの館長、ハブイバラキの実行委員の皆さん、茨木市など、周囲の皆さんの理解やサポートがあって『残っていく作品』を制作でき、感謝しています」
今回制作した7施設12作品は、すべて残っていくものです。今後は、鑑賞ツアーなどいろんな人に楽しんでもらえる企画を、考えているそうです。
ハブ・イバラキの作品、周囲の人の反応は?
除幕式では、茨木市の担当課の方々の挨拶もありました。さらに中島さんからコメントを求められる場面もありました。
「えらいことになったなぁと不安もあった」/茨木市担当課
平成25年にスタートした「ハブ・イバラキ アートコンペティション」の集大成ともいえる今回の取り組みを、茨木市の方はこう振り返ります。
「スタート時は、担当者もアートのことなんてわからないし、正直なところ『えらいことになったなぁ』という不安がありました。時には、呼びつけて怒ることもあったし、価値観の違いも感じました。本当に、互いにさまざまな意見を交わしてきましたね」
制作公開の日やイベントがあれば休日を返上して現場に来られていた担当の方々は「完成したものを見ると感慨深い」と話します。
「実は、文化振興課の職員たちも喜んでいます。例えば、制作してもらった部署のロッカー。完成してもとに納められていますが、今までモノが置かれていたロッカーの上が、自然と片付けられているんです」
アートというか…芸術のチカラってそういうことなのかなぁと感じるエピソードです。
「人との関りが生まれている」/茨木市担当課
市役所の他部署の皆さんの反応は?と中島さんは、さらに質問を重ねていきます。
「市役所や他の公共施設での制作なので、事前に『ここでこんなことをします』と告知するんですね。だんだんと『文化振興課がおもしろいことをしてるね』と言われるようになりました。イベントに対する寛容性も増したように感じますし、私たちも楽しみながら仕事ができました」
市役所の中にあるものや、公共の場所を「アート作品の一つにする」なんてイベント、よくOKしたな~って感じですよね。「おぉ、やるやん、茨木市」っていう。
茨木市役所の1階プランターのアート作品など、多くの人の目に触れる場所に作品があることで、小さな変化も生まれているそうで、
「当初の狙いでもあった『人との関り』が生まれていることを実感します。職員同士が気にかけたり、市民の方と職員が作品を通して会話する機会も増えています」とのこと。
文化振興課を訪ねて、ロッカーを見に来る方もいらっしゃるんだそうですよ。
「普通に仕事をしていたら、こういうことはなかったのかなと思うし、市民の方にも市役所を身近に感じてもらうきっかけになったらウレシイです」とおっしゃっていました。
除幕式参加者みんなで締め!素敵なプレゼントも♪
いよいよ本番の、養生などの撤去作業。空間に置いてあった脚立やテーブルなどを運び出し、床のシートをはがしていきます。
表に出した、アトリエにあったものたち。こうして並べるだけでフシギとアート感がありますよね。
テープをはがすだけでも、絵の具が散らばったところと元のシート部分の差がわかって、キレイです。
こんなふうに描いた絵の具や靴跡ついたシートは、充分「アート作品」です。とってもキレイ!
というわけなので・・・・・
参加者は、「この部分ほしいです!」とシートの一部をカットして持って帰らせてもらいました。もちろん、中島さんのサイン入り。
参加者がプレゼントにいただいたシートは、ほんの一部分。それ以外のシート部分は、どこかのタイミングで展示会みたいな企画もあるんじゃないかなぁ。
個人的な感想なんですけど。
今回、除幕式では「シートの一部」という実際のモノをわけていただきました。でも、それだけでない「アートのおすそわけ」をもらった気がしています。
「アートって好きに感じたらいいのかなぁ」と知ったり、「見に行ってみよー!」と場所を訪ねるきっかけになったりと、ハブイバラキプロジェクトを通して、「アート」のおもしろさを伝えてもらえたようで、ちょっとウレシイ。
制作で使った中島さんの靴とGパンは、めでたく茨木市役所文化振興課のところに展示されているようです。
2017」年1月にアップした【1月22日生涯学習センターきらめきが!HUB-IBARAKI PROJECT】の記事に、ちらっとGパンと靴が写っているので見比べてみては?
「アートって、作品があることで、今まで出会わなかったものが出会うんですね。自分のわかる範囲のものや興味のあるものには盛り上がるけど、そうでなければスルーしちゃうっていうのでなく、アート作品を通して何かが生まれるとか、風が吹き込むと感慨深い。アート作品が、何か新しいものとの接着剤になったらウレシイ」と中島さん。
最後に、みんなで中島麦さんと一緒に「ジャンプ写真」を撮りました。どこかで誰かがアップするかな?あ、J-comさんも取材に来られていました。いつ放送予定なのかは、聞きそびれましたが(笑)。
写真やテレビもいいけど、できれば実際にいろんな施設を回って作品を楽しんでみてくださいね。
■【茨木のアート制作・作品が見られる市内公共施設3つのスポット】の記事は、わかりやすい場所をピックアップ。
■【あ、HUB IBARAKI(ハブ・イバラキ)中島さんの作品発見!・・と思ったら】の記事も。実は、中島さんのおじい様の作品のそばにも今回の作品展示があるんですよ!
■【1月22日生涯学習センターきらめきが!HUB-IBARAKI PROJECT】の記事もどうぞ。
■【HUB-IBARAKI、制作の様子はJ-comで1月23日放送!現場で見るのもオモシロい】の記事は制作風景を。
■【こんなところで公開制作してた!明日は休みだから、今日だけ!茨木市役所で】の記事の場所、わかるかなぁ?