教えて、サン・チャイルド-南茨木の風景-
はい、茨木ジャーナルです。
一つ前の【「茨木のものって?」と迷ったら、参考になる…かもしれないスポット】の記事で最後にチラっと登場した、
サン・チャイルド。…のちっちゃいほう。
「はて、なんだろ?」という方も、少なくないかもしれません。
今でも「なんか、いつの間にかビックリするものがあるよね」という人もいます。
サン・チャイルドは大きなアート作品で、阪急南茨木前のロータリーに設置されています。
(2017年2月撮影)
南茨木の駅はモノレールと阪急の乗り換えができるので、利用する人も多いですが、利用するのはJR線ばっかりという方は、なかなか見る機会もないですよね。
えっと、改めまして…、
彼が、サン・チャイルドくんです。2012年に南茨木にやってきました。
教えて、サン・チャイルド
初めて見ると「デカッ」と最初に思うんじゃないでしょうか。そう、大きいよね~。サン・チャイルドのそばには、高さや重量などが書かれた案内板が設置されていて、それを見ると「6.2メートル」の高さがあるとのこと。
(2017年2月撮影)
そばにある標識よりも背が高いんです。
近くから見上げると、こんな感じ。
ロサビアの茨木のもの紹介のブースに飾られていたサン・チャイルドは、ヘルメットをかぶっているところでしたが、南茨木にある実際のサン・チャイルドは、ヘルメットを手に持っています。
案内板によると、この黄色い服は放射線防護服でヘルメットは防護マスク。右手にあるのは、希望の象徴である太陽だそう。胸元についているタイマーっぽいものは、0を示すガイガー・カウンター。
ガシッと踏ん張って立ってます。
サン・チャイルドは鉄やプラスチックなどから作られているようなんですが、靴にギュギュっと入れ込んだズボンのところに、ちゃんとシワも表現されてます。
ヘルメットのところも、下から覗いてみると、ちゃんと空洞になってました。
サン・チャイルドって、なに?
サン・チャイルドとは、茨木市出身の現代美術家・ヤノベケンジさんが作った彫刻作品。傷だらけになっても踏ん張って前を見据え、立ち向かっていくというメッセージがこめられているのだそうです。
サン・チャイルドは、なぜ作られた?
ヤノベケンジさんが、サン・チャイルドを作るきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災と原発の事故。再生・復興へ向けて進む人々の心に、夢と勇気を与えられる希望のモニュメントを、と作られました。
なぜ、南茨木の駅前に設置されてるの?
現代美術家のヤノベさんがつくったオブジェが、出身地・茨木市に設置されている、とわかったところで、ではなぜ、この場所に?…って思いませんか?
設置するまでのことを、サン・チャイルドの設置事業にも関わったグランファブリックの河上友信さんに、ちょっと前のことになりますが、教えてもらっていたので紹介します。
彫刻設置事業って知ってます?
もともと茨木市には、多くの人に親しんでもらえる憩いの場をつくることを目指した彫刻設置事業がありました。
いくつかアート作品がすでに設置されていて、例えば
元茨木川緑地に、こんなモコモコした白い作品があります。
これを作ったのは、茨木市出身の現代美術家・名和晃平さんで、茨木童子から閃いて作られたのだとか。ご自身が通っていた茨木高校のほうをじーっと見つめているんですが、夜にここを通るとドキッとしそうです。
この近くの公園にも、アート作品が設置されていて、すでにもう生活の風景の一部になってる感じ。これが、彫刻設置事業です。
その事業の中で、ヤノベケンジさんにも声がかかったことが、作品が茨木市に設置されている理由です。
最初は元茨木川緑地に設置する予定だった
最初、考えていた作品の設置場所は元茨木川あたり。けれど、ヤノベケンジさんから「サン・チャイルドを作りたい」と話があったことで、改めて設置場所について検討を始めました。
大きな作品なので、元茨木川緑地に設置するのか、他の場所の方がいいのかなど検討していたちょうどその時期が、南茨木駅前の開発のタイミングと重なり、今の場所への恒久設置が決まったのだそうです。
サン・チャイルド、実は…
サン・チャイルドって、クルクルと大きな瞳を持った顔をしていますが、その目はどこを見てるんでしょう。「目、合わないかなぁ」といろんな方に回ってみますが、遠いどこかを見つめてます。
どこ見てるの?
サン・チャイルドは、東を見つめています。
茨木から東のずっと先にある「東北地方」を、そして太陽が昇ってくる、新しい一日が始まる空を見てるんですね。
サン・チャイルドの顔を見たら方角がわかるので、他の場所にもサン・チャイルドがあれば、東の方角を知ることができるなぁなんて思ってしまった。
サン・チャイルドは一人だけ?
実は、サン・チャイルドは全部で3体あるんです。右手にある小さな太陽のデザインが少しずつ異なるんだそうですよ。3体のうち、茨木のサン・チャイルドはずっとココに。
残る2体は、さまざまな場所を巡回し設置されていて、福島空港でも展示されたのだそうです。それぞれの場所でも、東の空を見つめてたのかなぁ。
サン・チャイルドが最初に立った場所は
恒久設置されている南茨木の駅のサン・チャイルド。一番最初は、万博記念公園の太陽の塔の近くに展示されました。サン・チャイルドが、太陽の塔の持つメッセージを受け継ぐものという意味もあるのだそうです。
サン・チャイルドの右手にある小さな太陽と、太陽の塔。
アート作品って、設置される場所も含めての作品なんだなぁと改めて感じます。
サン・チャイルドにお姉ちゃん…?
顔に絆創膏が貼ってあるけど、しっかり立ち、力強く太陽の昇る空を見上げているサン・チャイルドには「大丈夫、ちょっとずつでも進めるよ」みたいなものを感じます。
実は兵庫県神戸市にも、同じようなメッセージがこめられたヤノベケンジさんの作品があるそうですよ。
兵庫県立美術館のそばにある「サン・シスター」という作品。大きな震災から20年以上経つ神戸の街に立っています。
いつか見に行ってみたいなぁと思いながら、行けてないんですけど、
ちょっと前に、たまたま美術館が見える道路を車で走っていたときに「あ、そうだ!」と慌ててシャシャシャと撮りました。(もちろん運転はしてませんよ)
わかりにくいと思いますが、シルバーの形のものが海のそばにあって、たぶんあれがサン・シスター。
※下写真追記しました。
上は、2019年4月に兵庫県立美術館へ行った時の写真。「あ、いたー!」と撮りました。あんまり天気がよくなかったんで、近くには行ってないんですけど、いましたよ、サンシスター♪(追記は以上)
アート作品は全部好きじゃなくても大丈夫
アートっていうとやっぱり敷居の高さを感じるときがあります。私自身も、実は最初にサン・チャイルドを見たとき「かわいい!」とは思えなかったんです。なんか「どうしよう」みたいな感じだった気がします
でも、ジロジロとみているうちになんとなーく、かわいいっていうのかなぁ、不思議な親しみのような気持ちがわいてきました。
気に入ってるのは、
この角度。
ちょーっとだけ、まつ毛が見えるこの角度。ズボンがギュギュっと靴に押し込められてシワができてるところとか、体の大きさに合わないサイズの背負ったリュックがランドセルっぽい形をしてるところが好きかも。
「こういうメッセージを発信してます!」と高らかに言われると、ちょっとついていけない感じはしちゃうのですが、
ガシッと台地を足で踏んづけてる感じが、好きです。
まだ近くで見たことないわ…という方、ふらっと出かけて大きさを体感してみるのもいいかも。
私は、2014年に【「なぜ茨木にアート?」HUB-IBARAKI (ハブ・イバラキ)ART COMPETITION」】の記事で、「アートって『好き』『いい!』って思わないといけないもんじゃない」と教えてもらってから、ちょっとずつ気軽に作品を見られるようになってきてます。(深く理解!…までには至りませんが)
あ、南茨木へはバス利用でも行けるんですよ~。
【茨木市駅から南茨木へバス。んむ?-茨木バス旅-】の記事もどうぞ。
南茨木駅前にそびえたつ《サン・チャイルド》くんが、グランフロントうめきた広場にも登場です。
残る2体のうちの1体ですかね。
他に《風神の塔》《ウルトラー黒い太陽》モニュメントもあります。
週明けに突如登場したので、びっくりしました。
2018年4月26日(木) – 5月13日(日)まで。
茨木市のアーティスト「ヤノベケンジさん」なので、コメントさせていただきました。
http://kyap.tumblr.com/