茨木市役所前‐深見遺跡で「アレがあった場所?」と妄想しながら
はい、茨木ジャーナルです。
茨木市役所前の中央公園・南グラウンドで、新しい施設建設の工事が進んでいますが、2019年には、新しい遺跡「深見遺跡」が発見されています。
南グラウンドは、茨木市のいろんなイベントやスポーツや散歩で楽しめた場所。
もっと前はどんな様子だったのか、3月6日(土)に発掘調査見学会が開催されたので、行ってきました。
- 1、深見遺跡、こんな感じ
- 2、円形周溝墓は特別なモニュメント?
- 3、深見遺跡から出てきたもの
- 4、発掘調査物語
こんな感じで紹介します。
茨木ジャーナルでも、ときどき「今、こんな様子」と記事にしています。全部並べられないけど、よかったら。
(写真は2020年2月)
■【茨木市役所の角っこと南グラウンドのとこ-茨木の風景】(2020年3月2日)記事参照。
■ここは「深見遺跡」というんだって~という記事
【東西通りイルミスポットがスゴイ!&中央公園グラウンドの遺跡名は?】(2020年12月10日)記事参照。
■発掘調査見学会があるよ~という記事
【元茨木川緑地・みどりの記念碑と深見遺跡の見学会のこと-茨木の風景】(2021年3月1日)記事。
1、深見遺跡は、こんな感じ
深見遺跡の発掘調査は、A・B・Cの3区にわけて実施されました。
上の写真は深見遺跡の東側真ん中あたりからパノラマで撮ったもの。
写真左からB区、C区。南グラウンド側にA区があります。
真ん中の円形のものが気になります。これは「円形周溝墓」というのだそう。
溝(272周溝)の真ん中に、約10メートルの円形部分が残っている形。溝の底から弥生時代後期の土器が出土したそう。
深見遺跡の「溝」の説明は、興味深いものでした。
上は、円形周溝墓を南東から見ていますが、向こう側(北側)の溝にだけ、堆積してた土に小石が混ざっていたそう。
このことから、円形周溝墓の北側に、小石を用いた何かの「装置」か「行為の痕跡」があった可能性が考えられるんですって。「興味深いことだ」と調査員さん。
少し消防署寄りへ移動して見たところ。
こちら側から円形墓へと溝が続いています。
「南から東へ流れる水路のようなもの」で、円形墓の手前で東へ屈折しているのが特徴。墳丘への特別な思いや考えがあるのでは、との説明でした。
目立つだけあって、円形になっている場所は、なにか大切なものみたい。
もう一度、深見遺跡を北東から眺めまーす。高橋の交差点側から見たところ。
円形墓の北側に、おもしろい溝が並んでいます。
業務スーパー側から桜通り方面へ伸びている2本です。
2本は、左を658溝、右を680溝と呼びます。
この2本は、幅や深さや伸びる方向など共通点がたくさんるそう。ただちょっと違うのが、右側の680溝は、底からもびっしりと土器が出てきたこと。
(業務スーパーのある西側から見たところ)
左の680溝にはびっしりと土器が。
「658溝のほうには、円形周溝墓。680溝では、居住域が広がっていたのではないかと考えられます。この溝が、居住域と円形周溝墓の境目というか‥結界のようなもの」というお話で、おもしろいなぁと思いました。
2、円形周溝墓は特別なモニュメント?
遺跡の溝は、円形周溝墓に対してなんらかの考えがあって作られていることが、解説員さんの話でわかりました。
また、円形周溝墓は特別なモニュメントだったのでは、と解説員さん。最後のお話も心に残るものでした。
「この場所は、弥生時代になにか特別なモニュメントがあったと考えられます。そして今、ここに新しい施設をつくろうとしている。単なるモニュメントではなく、新しいランドマークとなりますように」
ここで拍手したほうがいいんちゃうん…と思うほど、感動しました。
ふと思ったんですけど、この円形周溝墓の場所って…、
前は、こうやったんちゃうーん(笑)。
…なーんて。
さすがに違うか…。でも、そうだったら楽しいなぁと妄想しながら見て回りました。
ほかにも「へぇ、おもしろいなぁ」と思ったものがあるので、次で紹介しますね。
下記記事もよかったら♪
■2020年6月【中央公園の隣、森の公園のところ-茨木の風景】
■2020年7月8日【中央公園「あれ」の引越し先は-茨木の風景】
3、深見遺跡から出てきたもの
深見遺跡からは、弥生時代後期の土器など、さまざまなものが発見されました。見学会では、ガラス越しでなく、じかに対面。
展示されていた土器の多くは、底部分が直接置くと不安定な形。縄で吊るしたり、台で支えたりしたのかもしれないとか。
土器も時代ごとにマイナーチェンジしていく、という説明でした。オモシロイですよね。
表面にうっすらと模様がついている土器も。
土器のデザインも、アレンジというかブラッシュアップされていくんだそう。
こんな「へ?!」と思うものも展示されていました。
昭和初期のもので、当時ならゴミとしてポイッと捨てられそうなもの。今の時代に発掘されたことで、大切な展示物になるんだなぁ。
「ナイス」という白髪染の容器。
文字のところがおしゃれ…♪
鎌倉から室町時代にかけてのお金も。この場所では、何層にも歴史が重なっているんだなぁ…としみじみ。
完全な形にはできなかった土器もありました。
こういうのを見ると、完成な形の土器…というか、完成な形にした調査員の技術のすごさを感じます。
ジグゾーパズルのスゴイ版ってかんじで。
よくこんなカケラたちを見つけられるなぁと思いました。
さらに、深見遺跡がどんなふうに調査されていったのか、その様子がわかるものも、南グラウンドに展示されていましたよ!
4、発掘調査物語
私も、6日の見学会で知ったのですが、ここに「深見遺跡、発掘中!」シリーズが展示されていました。オモシロイよー、これ!
発掘調査は、2020年1月からスタート。パワーショベルで令和の土をザクザク掘って、そのあとショベルで手作業したそう。
「どんなものが出てくるのかドキドキ」…って。
ドキドキしてたら土器が出てきた、という楽しい物語を見ることができます。
2月には、弥生時代後期の土器が出てきたとあります。
そういえば、深見遺跡の周りの柵にも説明POPがありまして、そこでも、出てきた土器のことが紹介されていました。
「土器がすべて粉々になっていないのは、なぜか」と、そんな視点もあるんだなぁと気付かされるコメント付き。
また、楽しい現場には楽しいコトも起こるようで、
なんと、3月3日桃の節句には、モモの種が出てきたんですって!
持ってるなぁ、調査員の皆さん。
ウラヤマシイッ。
遺跡そばのテントでも、モモの種は展示されていて、魔除けだったかもしれない、と解説員さん。当時の「桃」は食べられる実の部分も少なかったようです。
実りの秋には、弥生時代の石の矢じりも見つかっています。
「弥生人は石の加工も上手。私が弥生人だったら、落第…」とプチ自虐な物語。
わかるわぁ、私もたぶん落第だ。
それにしても、こーんな小さいものをよくあの広い土の中から見つけるもんだなぁ。
「見つけた!」と、苦労の末の発見で愛おしくてたまらないのか、
矢じりは、見学の順路を表示する写真にも採用されていました。
もちろん、右への案内も矢じりでバッチリ。
解説も展示も楽しめて、行ってヨカッタなぁと思いました。
子どものころは、遺跡なんて興味を持ってなかったんですけど、こうして解説員さんの話を聞けると、やっぱり楽しい。
中央公園南グラウンドに設置されている「深見遺跡、発掘中!」の展示も、機会があれば見ると楽しいと思います。
最後の一枚の「土器や遺跡も…楽しみ方はそれぞれです」の一言も、いいなぁと思いました。
発掘調査も終わり、記録も残したということで、これからまた埋め戻して工事が進んでいくのだそうです。
ドキドキ~ッ!