「なぜ茨木にアート?」HUB-IBARAKI (ハブ・イバラキ)ART COMPETITION」
はい、いばジャルです。
茨木ジャーナルでも偶然、街で出会った風景として作品を掲載した、
「HUB-IBARAKI ART COMPETITION(ハブ・イバラキ・アートコンペティション)」の展示。
【こんなところに花が咲いてる-ローズWAM-】
【市民会館の駐輪場のところにお風呂ができる?】
【机がこんなことに! 茨木クリエイトセンター】
【ある小学校の風景】
今、茨木市内の公共施設7ヶ所に展示されている作品は、9月5日までの展示です。
先日、この「ハブ・イバラキ アート コンペティション」の第2回目開催について掲載しました。
でもワタシを含め、
「茨木にアート?どうしてどうして?」という疑問を持つ方もいらっしゃいますよね。せっかくの機会なので、実行委員の方に伺ってきました。
今回、お話を聞かせて下さったのは、茨木市若手芸術家育成事業『HUB-IBARAKI ART』実行委員長の河上友信さんと同(2014年)実行委員の緒方江美さんです。
河上友信さん:GLAN FABRIQUE inc. 代表、茨木芸術中心代表、
緒方江美さん:Total art planter うえきや代表兼プログラム・コーディネータ
第1回HUB-IBARAKI(ハブ・イバラキ)のこと
「アートと人々の出会いの場、アートを介した交流の場を創造します」というコンセプトで選ばれた7作品。
わかるようなムズカシイようなコンセプトが書いてありますが、振り返ってみると、ワタシが出会ったハブ・イバラキの作品は、ふら~っと歩いていた時に偶然出会ったもの。
制作の途中で出会って、思わず声をかけちゃったり、たまたま見つけて「わぁ!」と思ったり。
もしかすると、そういうことを言ってるのでしょうか。
第1回のハブ・イバラキでは、関連イベントとして、作品完成発表会で7作品の作家と審査員のトークイベントの他、展示作品を見て歩く「スタンプラリー」や「アートツアー」が実施されました。
「アートを介した交流の場」というのは、そんなイベントのことかもしれません。
「実は、自然と生まれたイベントもあったんです」と今回、実行委員を務める緒方江美さん。
緒方さんは、
以前、茨木ジャーナルでも掲載した「お風呂」の作品を出展した作家さんのお一人です。
【茨木市民会館の駐輪場にお風呂ができる?!】の記事
茨木ジャーナルでも掲載しましたが、ローズWAMで開催された藤本絢子さんの展示会とトークイベントは、展示をしていく中で生まれたイベントだったのだそうです。
【ローズWAMで藤本絢子さんのイベント開催】
緒方さんのお話では、ただ作品を作って展示するのでなく、その場所で制作をしていきながら、地域の人の目に触れたり声をかけてもらったりすることが、このハブ・イバラキの特長の一つなのだそうです。
緒方さんが制作で参加したあのお風呂の作品でも、毎日見に来る方がいらっしゃったり、たまたますぐそばの福祉会館の売店の方から「茨木っちゅーたら、ザビエルちゃう?」と聞いて、それを作品に取り入れたり・・と、そんなこともあったんですって。
「制作側からすると、声をかけてもらえることは嬉しいんです。作品について話をできたりもするので」と緒方さん。
「特に屋外展示の場合、その地域の様子ってわかるんだなぁと思いました」と言います。
この半年間、落書きやひどい悪戯などはなく「茨木って平和だなぁと思いましたよ」と緒方さんは話します。
一部損傷などはありましたが、すぐにケアはできたそうで「応募するアーティスト側が、屋外展示することへ覚悟を持ってさえいれば大丈夫なこと」だそう。
「おもしろい!とかきれい!とかそんな感情だけでなく、こういうのキライという感情を持つかもしれません。でも、それでいいんだと思いますよ。作品を見て、何かを感じるというそのことが、大切なことなんだろうと思います」と話します。
お♪
なんとなく、
「アートと人々の出会いの場、アートを介した交流の・・・」のことが伝わってくるような気が・・・。
なぜ、茨木にアートなのか?
では、この茨木で「アートと人々の出会いの場、アートを介した交流の場の創造」をテーマにしたコンペを開催しようと思ったのは、なぜなんでしょう?
この質問に答えて下さったのは、「HUB-IBARAKI ART」の実行委員長・河上友信さん。
「茨木に、コミュニティ・プライドを作りたいと思ってるんです」と河上さん。
「茨木で育った僕が、色んな人と話をしている時に、本当によく出てくるのが『太陽の塔』なんです。アートに関わる人間にとっては、やっぱり大きい存在です。でも、あれは吹田市にあるんですよね。今、吹田の人たちにとって太陽の塔は、もうアートというよりも誇りになっている。でも、やっぱり茨木の人たちには、心のどこかに太陽の塔がある気がするんです」
昔から、それを見て育った・・・・。
自分の育ってきた風景に、それがあった・・・。
「そういうものを、茨木の中に作れたら」ということなのでしょうか。
「第1回目のハブ・イバラキで、街の中に作品が展示されたんですけど、自然と街の人たちの日常の中の風景になったらいいなぁと。特に、子どもたちが大きくなったときに、彼らの『懐かしい風景』になったら嬉しいなぁと思っています」
茨木市役所近くの「高橋」交差点に立ってる「茨木童子」・・も近いのかなぁ。あ、今はなくなったけど、総持寺のフジテックのタワーとか?
阪急南茨木駅にある「サンチャイルド」をご存知でしょうか。あのサンチャイルドの設置にも関わった河上さん。「サンチャイルドも、いつかそんな存在になってくれると思っています」と河上さん。
「アートで何ができるねん」
第1回目のハブ・イバラキで施設内での長期展示をしたことで、作品が多くの人の目に触れたことは良かったと振り返る河上さん。第2回目のハブ・イバラキ募集にあたっての想いを尋ねました。
「ただ、面白いとかキレイとか・・・。それもいいけど、でもそうじゃなくて、暮らしの中で気持ちが豊かになれるような、生きて行く中で心が豊かになるきっかけになるような・・・。そういうものってきっと大切で、その一つが『アート』なんじゃないかなと。そのことが伝わればいいと思います」とのこと。
応募するアーティストには
「アートの役割、可能性みたいなものを見せてほしい」という河上さん。そんな思いが強くなったのは2011年の震災以降だと、話をして下さいました。
「アートを通して、作家は悲しみや喜びや怒りなどを表現する。それはそうだと思うんです。でも、作家自身の感情の表現で、何ができるんだろうと感じました。表現するだけでは、何もできてないんじゃない。でも、やっぱりアートは必要とされると感じます」
何かできることがあるはず、アートにはそういう力があると河上さん。
なんだか芸術全般・・・、演劇や歌などにも共通することのような気がしませんか?「アート」と言われると、どこか敷居の高さを感じたりするだけのことで。
コンペで選ばれた作品が、茨木の街中に展示され、多くの人の目に触れることになります。
その時に、道行く人がどんな反応をするのか、どんな感想を持つのか、それはもう作家の手を離れたところで起こること。けれど「日常の生活の中にアートがあること」は、風景として刻まれていくんですよね。
人の心の中にゆっくりと根っこを下していくようなもの、形として見えなくても、人の心の中で育っていくようなもの。
アートは、そんな力を持っているということなのかなぁと感じたお話でした。
「人の心の中に残っていくもの」となるのは、作品が現れたその瞬間かもしれないし、もっと何年も経ったときかもしれません。
そう考えると、とても気の長い話ですが、10年後、20年後にどうなっているのかなぁと想像すると、ワクワクしてくる話だなぁと感じました。
本当にシロウトのワタシに、丁寧に色々と答えて下さった、河上さん、緒方さん。どうもありがとうございました。来年、どんな作品が街の中に現れるのか、楽しみに待ちたいと思います。