夜限定!今年9月までの風景 HUB-IBARAKI ART PROJECT(ハブイバラキ)
はい、茨木ジャーナルです。
4月中ごろだったか、阪急茨木市駅とJR茨木駅をつなぐ中央通り沿い。サワラギヤ前に「HUB-IBARAKI ART PROJECT」のサインが出ているのに気が付きました。今年も、茨木市若手芸術家育成事業「HUB-IBARAKI ART PROJECT COMPETITION(以下、ハブイバラキ)がスタートしています。
2017年度の選定作家は稲垣元則さん。【JR総持寺駅「SOU」-歩けば出会うアートな空間が文化の街・茨木を発信!】の記事で紹介している、JR総持寺駅自由通路のアート作品展示「SOUアートプロジェクト」にも関わっている方です。
4月30日にサワラギヤで、トークイベントが開催されると聞き、行ってきました。
☆「ハブイバラキって?」と思ったら
【ハブイバラキ(HUB-IBARAKI)除幕式でアートのかけらの贈り物】(2017年5月)の記事や
【1月22日生涯学習センターきらめきが!HUB-IBARAKI PROJECT】(2017年1月)の記事などを、どうぞ。
(写真は2017年1月。中島麦さんの制作風景)
今年のハブイバラキはフシギだ…
この日のトークイベントは、昨年の選定作家・中島さんをゲストに招き、稲垣さんと「まちなか・アート・制作と展示」について語るというもの。
会場になっているサワラギヤの表には、ハブイバラキのポスターが貼ってありました。
今年のポスターはモノトーン。
「映像の展示ですよ」と聞いて、わかりやすそうだなぁと思っていたのですが、ポスターのトーンを見て急に「私に理解できる内容か?」とちょっと不安に。
道に面している窓ガラスにすりガラスのようなシートを貼り、室内から映像を照射。外から作品を見られるようにしています。
「アイデアを実現させる場所を求めるところからが、制作。僕のアイデアに、サワラギヤさんや茨木市の文化振興課の人など、いろんな立場の方がトライしてくれた。人通りのあるところで、どんなふうに取り込まれていくのか楽しみ」と稲垣さん。
映像は9月末までのあいだに不定期でリニューアルされていきます。
「(展示する)場所を求めてキッチリと見せるようにすることが大事だった。場所を借りる依頼や許可をとるなどのプロセスも、作品作り」
手を動かす制作から見せていく中島さんの作品とはまた少しスタイルの違うアート展示。期間中は、トークイベントも5回ほど開催する予定です。
2人が考える「アートプロジェクトとまちづくり」
トークイベントでは、中島さんモデルのスニーカーも紹介されました。これ、実際に販売されているスニーカー。こんなふうに、アートって暮らしの中に混ざっていくものもあるんですね。
これまでにも、日本各地で開催されたアートプロジェクトに参加したことのある2人のトークは「普段の作品作りとまちのアートプロジェクト」の違いについても広がりました。
まちのアートプロジェクトの役割って?
「まちのアートプロジェクトは、落としどころが決まっていないというか。ふだん美術館へ足を運ばない人たちとどんな接点を持てるのか、がテーマかも」と中島さん。
私もアートが身近ではない人間です。中島さんは、そういう人と作品が「街の中でどんな関わり方をするのかが大きい」と、「どんな接触事故が起こるのか」という表現を使っていて、印象に残りました。
「美術館とかギャラリーって『見に行くぞ!』って感じ。まちのアートには、それがない。日常的なことの延長にアートがあるというのがいい」と、だからこそ残るものを作りたいと中島さんは考えたそうです。
「分母を増やすこともテーマ。多くの人の目に触れることで接触事故が起こる」と稲垣さん。
「作品の意味がわかるとか、そういうことは先々の話でいいんじゃないかな。やっぱり『見たことある』とか、そんな体験こそが必要なんろうと思ってる」と話します。
「どんなものでも、触れたことがあるかどうか、経験しているかどうかは、大きいと思う」という言葉に来場者の多くがうなずいていました。
見たことがある、聴いたことがあるという経験が、いつか本物の何かに触れたときに大きな化学変化を起こすようなこともある…みたいなことかなぁと、話を聞きながら思いました。
トークイベントの中で「アートプロジェクトが成功か失敗かは、ある意味、教育の分野にもなってくるかも」という言葉も印象に残りました。
夜にだけ見られる作品
トークイベントの終わる19時頃、外も少し暗くなってきたので参加者全員で、サワラギヤを出て向かい側の歩道へ移動しました。
この場所が、2018年のハブイバラキアートプロジェクト作品を見るのに絶好のポイント。「ゆっくり見てね」とばかりに、テーブルとイスもちょっとだけ置いてあるんですよ。
ほんの10分ほど待っていると、
道に面した窓ガラスに、映像が浮かび上がりました。
なんだろ…。海?湖?
音はなく、ただ映像だけです。この場所が日本なのか海外なのか、ヒントになるようなものは映っていなくて、朝の風景なのか快晴なのか、季節はいつなのかも、まったくわかりません。
これまでに参加したアートプロジェクトでは、展示する現地で取材も行ってきたという稲垣さんですが、今回の場所については、内緒。
でも、これが茨木のどこかの映像だったら、私たちの中で「あぁ、あそこね~」とそのイメージを持ったまま見ちゃってたかなぁと思ったりして。どこかわからない場所の映像だから、想像するのも自由だし、見るタイミングや気分によって感じ方も変わるかもしれないなぁと思いました。
普通に私たちが利用する場所に、暗い夜の間だけ写る映像で…、当然ですが
想像の世界に浸っていると、ふいに車が通りすぎることも。
それも含めて、じんわり楽しみたいなぁと思える作品のようです。稲垣さんは「オススメは、深夜」とおっしゃっていました。あたりの照明が落ちた時間に、見てみたいですね。
2018年HUB-IBARAKI ART PROJECT作品展示は、9月末まで。映像は日没から翌朝まで見ることができます。毎日、サワラギヤさんがスイッチを入れてくださるそうで、それもスゴイよなぁと思いません?
もし朝の8時ごろにもまだ映像が流れていたら「あ、今朝はサワラギヤさん、寝坊しはったんかなぁ」と想像するのかも~と思いました。
(寝坊でなく、急きょ休演になることもあるそうです)
■追記
【暗い時間限定アート。7月は夜探検ツアーあるよ!】(2018年7月)記事でも風景をチラリと。
【HUB-IBARAKI ART PROJECT】
作品展示 2018年3月30日(金)~9月30日(日)
公開時間 日没から日の出のころまで
展示会場 サワラギヤ(茨木市駅前4丁目2-31)
※良い子の皆さん、深夜に見に行きたいときは、おとーさん、おかーさんと一緒にね。
イベントの最後、中島さんのアーカイブ冊子ももらっちゃいました。見応えアリアリです♪
タグ:JR茨木, ハブ・イバラキ(HUB IBARAKI), 風景