「三島独活(うど)」伝統農法でつくる農家は日本でココだけ!千提寺farmで

 

はい、茨木ジャーナルです。

まだ寒さを感じる3月のある日、茨木市北部の千提寺farmを訪ねました。少し前に注文した、茨木市の名産品「三島独活(みしまうど)」をいただきに行くためです。

2018年11月に【育てる人と作る人。伝えたいのは、茨木の価値-千提寺farm.とBONOcafe】記事でも紹介した千提寺farm(中井大介さん・優紀さん)は、三島独活を生産する農家。

「三島独活」を作っているのは、日本の中で大阪府茨木市の山の中にある、千提寺farmだけです。

三島独活(みしまうど)って

三島独活パンフアップIMG_8946

千提寺farmが作る「三島独活」は、江戸時代から続く伝統農法で作る野菜。一般に流通している独活は軟白独活で、三島独活もその一種です。

ただ、栽培方法が大きく異なります。
山の空気と太陽を浴びた独活の株を植え付け、藁と干し草の発酵熱で「春」をつくって育てる農法。温度の管理も難しいし、天候などの影響も受けやすく、一年を通して手間がかかります。
効率化へ傾く時代の流れの中で、江戸時代から続く農法で作る農家は、今では千提寺farmだけになりました。

「ここは隠れキリシタンの村でしょ。信じるものを貫くという風土がやっぱりあって、三島独活は守られてきたと思うんですよね」と中井さんの言葉が心に残りました。

「こんなに手がかけられているとは」…な小屋で

千提寺farm三島独活の小屋前でIMG_8935

この日は他にも、私と同じように注文した独活を受け取りにきたハスイケさんと、三島独活の株主・ナンバさんも一緒でした。

案内されたのは、青いシートで覆われた独活の小屋。去年BONOカフェさんとここへ来たときにはなかったはず。

小屋は、毎年冬が始まるころに新しく建てるそう。使う藁は千提寺farmだけでは足りないため、毎年地域の農家さんからも助けてもらい、大量に確保します。
青いシートは「帆布」。雨や日差しにも耐えるヨットの帆と同じで、これだけの大きさの手配も大変そうです。

「二人だけでは小屋も建てられないし。ほんっと、いろんな人の助けがあって、できてるんですよね」と中井さん。

三島独活の小屋の中に藁IMG_8932

小屋の中には、藁の束が山積みされていました。よく考えると、一つひとつを束ねていく作業もあるわけだよなぁ…。

植え付けられた独活は、藁と干し草の層の下で育ちます。干し草も、外来種のものが混ざると独活には良くないそうで「えー、そんなところも影響するの?!」とちょっとビックリ。
ほんと、手がかかるんですね、独活。

千提寺farmで中井さんIMG_8929

外気に触れてしまうと味にも影響するため、わーっとオープンにすることはありません。独活が育つために大切な環境を保つことで、柔らかくて瑞々しい味になるのだそうです。

千提寺farmの三島独活藁の中IMG_8930

ちょっとの隙間から、順番に手をそっと入れさせてもらいました。「わ、あったかい~」と感じるのかと想像していたのですが、意外と普通。

これが「春」の温度なんだなぁ、なんて気付いたり。

小屋の中央あたりと端っこでは、外から受ける気温の影響も違うので、温度の管理にはご苦労があるようです。株が小屋に植え付けられてから、毎日温度の調整を行うのですが、その期間は約50日ほど。

「技術が決め手の50日間」と
「そのめちゃくちゃ技術のいるクライマックスみたいな50日間のための準備の毎日…(あぁ長い…)」。

小屋を眺めながら想像していたら、本当に貴重なものなんだなぁヒシヒシと伝わってきました。

千提寺farm三島独活IMG_8945

収穫した三島独活は、こんなふうに包まれて私の手へ。
「どんな刀、渡されんね~ん、みたいでしょ!」と中井さんはケラケラ笑いながら渡してくださったんですけど(笑)、畑での作業はもちろん、とにかく一つ一つのことに「あぁ、手をかけてもらってるんだなぁ」と私はこっそり感動してました。

「こんなに時間をかけて作られてるとは、知っていたけど…。実際に見るとやっぱり改めて、本当に大変なんだなぁって…。50日でしょ…、スゴイですよねぇ」とハスイケさん。

2018年度から株主になったというナンバさんは
「子どもに畑を見せたいと思って株主に。子どもは野菜をよく食べるように思います。なにか感じるものがあるのかも」と話していました。

千提寺farm三島独活2IMG_8954

とにかく新鮮なうちに…、あんまり外気に触れさせないように…と思いながらパチリと一枚。

このまま、まずはかじりました。
しゃりっとした歯ごたえと瑞々しい甘さは、格別!畑の風景や聞いたお話も一緒に噛みしめながらいただきました。

中井さんご夫婦が丁寧に毎日手をかけてきたものを、お二人を応援する方たちの思いと一緒にいただいてるんだなぁと、なんとも言えない気持ちを味わいました。

三島独活は、決して安くないんです。

でも、中井さんの作った独活がほしい…と思いました。
多くの方が応援して「三島独活、ほしい」と手を挙げていらっしゃるのも、きっと同じ気持ちなんだろうなぁとお腹の底から感じました。

そりゃ、私だって100均に行くこともあるし、こっちのほうが安いやん…と選ぶこともあります。
「対価を払う」=「応援したいねんの気持ちの表現」
そんな買い物は、なんとも言えない贅沢だと、感じました。

三島独活株主の会っていうのがあります

千提寺farmパンフIMG_9020

「いろんな人がほんとに助けてくださって…」と、案内してくださるあいだ、中井さんは何回もおっしゃっていました。

千提寺farmでは、2017年に「三島独活株主の会」がスタート。
三島独活を次の世代へも継承していきたいと考えるお二人と、それを応援したいと思う人たちとが、同じ三島独活の株を持つ仲間として繋がっています。

株主になると、生産にも関わることができます。株の植え付けや農作業などを通して、自分の手を動かす楽しさを体験でき、収穫の感動もひとしお。
「植え付けに関わったから、味は去年よりずっとずっと感動的だった」と今回ご一緒したナンバさん。

2019年度の株の植え付けもそろそろで、三島独活株主の会では2019年度の株主さんを募集してます。

5,000円/1株で、1株から保有可能。(2020年3月の収穫まで)
ご希望の方、ちょっと詳しく知りたいという方は、下記のいずれかで千提寺farm中井さんへご連絡ください。

・「千提寺farm」のフェイスブックページ
・電話(090-6900-6968)
・メール(sendaijifarm.380アットgmail.com)「@」に替えてくださいね。

2018年9月三島独活の花DSC06957
(写真は2018年9月の独活の花)

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